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本当に憲法改正をしてもいいんですか?
弁護士 加藤美代
2月の衆議院選挙で自民党が316議席をとり、単独で衆議院の3分の2議席である310議席を超えたことが大きく報道されています。衆議院の3分の2議席とはどんな意味があるのでしょうか。
これは、衆議院において、憲法改正案を自民党単独で可決することが可能になったことを意味します。
ところで、日本国憲法とは何でしょう。日本国憲法は、日本の在り方の基礎となる法律で、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という3原則を定めます。国民が政治に参加し、個人の尊厳が守られ、戦争の悲劇を回避する社会がこの憲法によって成り立っています。
この憲法を変えることを憲法改正といいます。憲法は日本の在り方を決める基本法ですので、ほかの法律を作ったり、廃止したり変えたりすることに比べて次のように格段に慎重な手続きを定めています(憲法第96条)。
①憲法改正案の作成
憲法改正案は、衆議院100名以上、参議院50名以上の議員の賛成で憲法改正原案が作成され、憲法審査会で審議し、過半数の賛成で憲法改正案として国会に提出されます。
②憲法改正案の検討
衆議院、参議院それぞれで憲法改正案を検討します。
③国会の発議
憲法改正案が衆議院、参議院それぞれで総議員の3分の2以上の賛成があれば、国民に対し、発議されます。
2月の衆議院選挙で自民党が総議員の3分の2以上の議席をとったということは、衆議院では自民党が単独で憲法改正案を可決できることになりましたが、参議院でも総議員の3分の2以上の賛成が3分の2がなければ、国会の発議はできません。
④国民の承認
憲法改正案が衆議院だけでなく、参議院でも総議員の3分の2以上の賛成があれば、国民に対し、憲法改正案が発議されます。
国民の承認のために、国民投票は、国会が発議してから60日以後180日以内に行われます。この期間は、国民が憲法改正案を知り検討する期間といいますが、日本のあり方の基礎となる憲法改正を考えるには十分な期間とはいいがたいものです。
国民投票により有権者の投票で過半数の賛成があれば、憲法改正が成立します。
この過半数の賛成とは、有効投票の過半数の賛成をいいます。最近の国政選挙の投票率が50パーセント台であることを考えると、その過半数というと、国民の25パーセント程度の賛成でも憲法改正が可能になります。
憲法は日本の在り方を決める基本法ですので、ほかの法律を作ったり、廃止したり変えたりすることに比べて格段に慎重な手続を定めているはずが、国民投票では、投票率が低くなればなるほど、少数の賛成で憲法改正が可能になってしまうという大きな問題が生じています。
⑤憲法改正の発布
天皇が国民の名において発布します。
日本の在り方を変える憲法改正は、圧倒的多数の国民の賛成があって初めて行われるべきであり、改正の正当性が認められるといえます。決して、少数の賛成で、憲法改正が行われてはなりません。日本国憲法自身が第96条をもって改正手続きを特に厳しく定めた意味といえます。
日本国憲法を特徴づける憲法9条は、国民が戦争にまきこまれる悲劇を回避する社会を作るための基礎です。
憲法9条の改正は、日本の在り方を変えることになるので、慎重なうえにも慎重に考えなくてはなりません。
憲法9条に限らず、憲法を改正することは、日本の在り方にかかわることを忘れてはなりません。
憲法96条
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
② 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
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ブログ更新履歴
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