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正規労働者と非正親労働者の待遇差別を巡る一連の最高裁判決

同一労働・同一賃金

『同一労働・同一賃金』という言菓を耳にしたことがある方は多いと思いますし、初めて聞く方でもその意味は何となく分かるのではないでしょうか。簡単に言えば、同じ仕事をしている労働者に対しては同じ賃金が支払われるべきだという理念で、ILO(国際労働機関)を中心に展開されてきたものです。
日本でも、この理念の下、l日労働契約法20条は正規労働者と非正規労働者との間での均衡待遇を使用者側の義務として定め、この条文は現在のパートタイム・有期雇用労働法8条に引き継がれることとなりました。
そして、この条文を根拠に、非正規労働者の不均衡待遇の改善を求め、日本各地で裁判が提起されたのですが、一連の裁判について、最高裁判所が一通りの判断枠組みを示しました。

最高裁判決の内容とは

まず、今から約2年半前の2018年6月に2つの最高裁判決が出され、「1.業務内容、2.責任、3.配置変更範囲、4.その他の事情、の4つの判断要素から、正規と非正規との待遇格差が不合理か否かを判断する」とされました。そして、各種の手当につき、その手当がどういう理由や目的で支給されているのかを分析した上で、大部分の手当について、非正規労働者に支給しないのは不合理だとされました。他方で、同じ非正規労働者でも、定年後再雇用の場合は、手当の種類によっては、不支給が許容されたものもありました。
そうして、昨年の10月に合計で5つの判決が出され、手当については従前の考え方が維持されたのですが、賞与と退職金については、正規労働者との職務内容の違いや、支給の目的に「正職員としての職務を遂行しうる人材の確保やその定着を図る」という点があるとして、非正規労働者に支給しないとしても不合理ではないとされてしまったのでした。

2020年10月15日「日本郵便訴訟」判決後、最高裁前で(郵政産業労働者コニオン提供)

給与明細・賃金規定を確認しよう

さて、最高裁から判断の基準か小されたことで、特に非正規で働いている皆さんに訴えたいことがあります。それは、自分の給料を確認し、正社員と比べて支給されていない手当等がないかを確認してみませんか?ということです。
例えば、家族手当を支給している会社は結構ありますが、これは、扶設家族が多ければその分だけ生活費が高くなるために支給されているもので、その事情は正規労働者と非正規労働者で異なりませんから、等しく支給されるべきものです。また、精勤手当についても、毎日社員に出勤してもらうためのいわゆる「ニンジン」として支給されているもので、これも正規労働者と非正規労働者で事情は異なりませんから、等しく支給されるべきと言えます。
これらの手当については、非正規労働者に対して支給しないことは不合理であると判断される可能性が高く、会社側に改善を求めれば、その分だけ給料が増える可能性があるのです。
そこで、自分の給与明細や、勤務先の給料体系がどうなっているかを確認した上で、一度、当事務所の弁護士に相談されることをお勧めします。

この記事の担当者

吉川 哲治
吉川 哲治
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