スタッフブログ

結婚の自由を求めて
~同性婚訴訟名古屋と全国の奮闘~

「緒婚の自由」を求めて

2019年2月14日、札幌、東京、名古屋、大阪で、同性カップルが国を相手に、同性どうしの結婚(同性婚)を求める訴訟を提起しました。9月には九州も加わり、全国で「結婚の自由をすべての人に」訴訟として取り組んでいます。
私も弁護団の一員です。昨年当事務所に移籍するまで東京で勤務していましたので、東京弁護団として提訴に携わり、現在では、東京弁護団と名古屋弁護団の二足のわらじで奮闘しています。

「パートナーシップ制度」では解決できない多くの課題

よく、「最近では同性カップルも結婚できるようになったでしょ?」と間かれますが、これって実は誤解なんです。
最近広がりを見せているのは、自治体による「パートナーシップ制度」です。大雑把に言うと、自治体に対し「私たちはパートナーなんです」と宣誓すると、自治体が「この二人はパートナー関係です」と証明書を発行してくれる、というものです(詳細は自治体によって様々です)。
法律上「夫婦」「配偶者」に保障されている権利は、自治体の制度では保障されません。つまり、パートナーの一方が亡くなっても相続権はないし、税務上配偶者控除を受けることはできません。国際カップルの場合、外国籍のパートナーは「日本人の配偶者」としての在留資格を得ることはできませんので、ずっと日本で日本人パートナーと葬らせる保障はありません。自治体の制度は、あくまで自治体の行政サービス内でパートナーとして扱うとか、その自治体内の事業者に理解や協力を求めるといったもので、効果はかなり限定的です。
もちろん、パートナーシップ制度が広まれば、同性カップルの存在が日に見えるようになり、社会的に承認されることで、セクシュアルマイノリティ(同性愛者などの性的少数者)について理解が広まります。何も制度がないよりは、制度がつくられるほうがずっといいんです。
それでも、本当に不平等を乗り越えるためには、「同じ制度」で「同じ法的利益」が得られることがとっても大事なんです。

名古屋の原告渾身の意見陳述

名古屋では、男性カップル1組が原告として奮闘しています。2020年9月8日の期日では、原告による意見陳述を行いました。
男女の夫婦だったら何の問題もなくスムーズに終わる手続きに、同性ゆえに苦労をする実態を話して頂きました。例えば、お互いがパートナーとして協力し合うという契約書を公正証書で作成した際、十数万円かかったこと、節約のためにクレジットカードで家族カードを作ろうとしたら多くのカード会社で同性カップルは対象外で、申し込めるカード会社でも提出資料やコールセンターとのやりとりが煩雑だったこと、携帯電話の契約では家族として扱ってもらえなかったことなどです。
普通のことが普通にできないもどかしさの連続が、まるで「二流市民」と突きつけられているよう。私は法廷で原告の話を聞きながら、どれだけ悔しかっただろうかと胸が痛みました。

全国で尋問と判決へ

名古屋訴訟では、1月15日13時30分に、次回期日を迎えます。また、3月17日には、全国で最初に札幌で判決を迎えます。ぜひご注目ください。

訴訟支援団体「MARRIAGE FOR ALL JAPAN ―結婚の自由をすべての人に一」ウェブサイト

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