法律・法改正

安保法制違憲愛知訴訟の判決を受けて

 安保法制違憲訴訟は、安保法制の違憲性を訴えて全国22の地域で25の裁判が提訴され、愛知では2018年8月の提訴から4年半にわたり、計221名の原告と41名の代理人で裁判を戦ってきました。しかし、愛知を除く各地方裁判所で敗訴判決が続き、全国的には控訴審に移行していたり、控訴棄却で上告せず確定している地方もある状況です。そのような中、最後の地裁判決として、2023年3月24日、名古屋地方裁判所1号法廷で判決が言い渡されました。

 主文は、残念にも原告らの請求を棄却する敗訴判決でした。その判決の理由は、憲法前文・9条・13条を考慮しても「平和」の内容は抽象的であるとして、平和的生存権を具体的な権利として国民に保障されているとは認めず、安保法制により平穏に生きる権利や人格権を侵害されたという原告の訴えも、現実的な危険は発生していないとして切り捨てました。さらに判決は、ウクライナ侵攻などの情勢による脅威は増していると認めながらも、それと安保法制は関係がないとして、本件を「政治的信条や信念」の意見対立の問題にすぎないとして矮小化したのです。

 こうした名古屋地裁判決は、憲法判断から目を背けて裁判官としての職責を放棄するものです。安保法制により軍事国化に歯止めがかからない今、裁判所の役割が最も問われています。

愛知訴訟はその後控訴し、名古屋高等裁判所に係属中です。地裁判決の不当性を訴えて原告団・弁護団ともにさらに奮闘していきますので、ぜひ裁判傍聴など応援をお願いいたします。

この記事の担当者

金井 英人
金井 英人
法曹を志してから弁護士になるまで、人よりだいぶ長い時間がかかってしまいました。私の二十代は挫折の繰り返しでしたが、そうした中で感じた不安や心細さ等の経験を、少しでも皆様の安心のために役立てることができればと思います。

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