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児童福祉法改正

弁護士 小宮千歩

 こんにちは、寒い日が続きますね。

 昨年6月8日、児童福祉法が改正されました(施行は令和6年4月1日。但し、一部例外あり)。児童福祉法は、保育・福祉の仕事をしている人にだけに関係する法律と思っているもいらっしゃる方もいるかもしれません。

 しかし、児童虐待の相談対応件数の増加や、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている等、子どもの権利保障及び子育て世帯に対する包括的な支援の不十分さが大きな社会問題となっています。

 そこで、今回は、児童福祉法改正で何が変わるのかについて概略を紹介します。

1 改正の概要

(1)児童の意見聴取等の仕組みの整備

 児童相談所等は入所措置や一時保護等の際に児童の最善の利益を考慮しつつ、児童の意見・意向を勘案して措置を行うため、児童の意見聴取等の措置を講ずることとします。都道府県は児童の意見・意向表明や権利擁護に向けた必要な環境整備を行います。

(2)一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入

 児童相談所が一時保護を開始する際に、 親権者等が同意した場合等を除き、 事前又は保護開始から7日以内に裁判官に一時保護状を請求する等の手続を設けます。

(3)子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化及び事業の拡充

(4)一時保護所及び児童相談所による児童への処遇や支援、

   困難を抱える妊産婦等への支援の質の向上

(5)社会的養育経験者・障害児入所施設の入所児童等に対する自立支援の強化

(6)子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上

(7)児童をわいせつ行為から守る環境整備

   (性犯罪歴等の証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に先駆けた取組強化)等

2 以上のとおり、内容は多岐に亘っていますが、私個人は(1)児童の意見聴取等の仕組みの整備に注目しています。

 今後、都道府県知事又は児童相談所長が、在宅指導、里親委託、施設入所等の措置、指定発達支援医療機関への委託、一時保護の決定等を行う際、児童に意見聴取等を実施することになります。

 また、子どもの最善の利益を考慮するとともに、子どもの意見又は意向を勘案して措置等を行うために、あらかじめ、年齢、発達の状況その他の子どもの事情に応じ意見聴取その他の措置を講じることになります。

 そして、児童相談所長等の意見聴取等の義務の対象となっている子ども等を対象に、子どもの福祉に関し知識又は経験を有する者(意見表明等支援員)が、意見聴取等により意見又は意向を把握することになります。

 上記児童の意見聴取等の仕組みの整備の導入は努力義務ですが、子どもの意見表明権(令和5年4月1日に施行されるこども基本法においても規定されました)の実質化に道を開くものとなることを期待しています。

以上

この記事の担当者

小宮 千歩
小宮 千歩
現在日本において、多くの虐待事件がおこり、子どもの貧困率は近年上場傾向にあるなど子供を取り巻く環境は決してよいものではありません。老若男女問わず全ての人の人権が尊重される社会を目指して日々精進していこうと思っています。
司法修習中、もっと早く相談をしてもらえれば、こんな大ごとにはならずに済んだのに、と思ってしまう事件がいくつかありました。お困りごとは、些細な事などと放置せずに早めにご相談いただければと思います。

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