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新型コロナ特別措置法

弁護士 加藤美代

はじめに


3月13日に、新型コロナ特別措置法(以下、新型コロナ特措法)が参議院で可決されました。新型コロナの流行を防ぐためには、新たな法律が必要だということで成立しました。

新型コロナ特措法とは


新型コロナ特措法とは、正しくは新型インフルエンザ等対策特措法を改正して新型コロナを対象とするという法律です。

ㅤ新型コロナ特措法の最大の問題は、緊急事態宣言の下で行政に権力を集中させ、広範な権利制限が可能となる緊急事態宣言(32条)を定めたことです。政府対策本部長(通常は首相なので、今後首相とします。)は、「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」といいます。)が発生したと認めるとき」は、緊急事態を発令できます。
緊急事態宣言が発令されると、地方自治体の長は、「まん延の防止に関する措置」をとることが出来ます。

具体的には


・外出禁止(45条1)
・学校、社会福祉施設、スポーツやイベント開催などの制限若しくは停止を要請・指示(45条2、3)
・臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋又は物資を使用(49条2)

新型コロナ特別措置法の問題点


ㅤこれらの措置は、国民の移動の自由、経済活動の自由(憲法22条)、集会の自由、表現の自由(憲法21条)、教育を受ける権利(憲法26条)、財産権(憲法29条)など、憲法に明記されている国民の権利を大きく制限します。(憲法の条文はこちらからご参照ください)

ㅤところが、知事が「まん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるとき」に措置をとることができるとされ、その条件は漠然として曖昧です。またその期間を定める基準はありません。
緊急事態宣言によって措置をとった結果、市民に生じる経済的な損失について、補償する仕組みもありません。

ㅤそもそも緊急事態宣言そのものが、首相が全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」といいます。)が発生したと認めるとき」に発動されます(32条)。つまるところ、首相の判断に発動の可否が決まってしまいます。

ㅤしかも、緊急事態宣言の期間は2年を超えてはならないとされていますが、必要があれば国会に報告するだけで期間を延長することも出来ます(32条)。

ㅤまた、首相は、指定行政機関や都道府県だけでなく指定公共機関に対しても新型コロナの対策のために総合調整を行うことが出来ます(20条)。NHKも指定公共機関にあたるので、NHKに対して首相の権限が及ぶことになります。これは、報道の自由を侵害し、国民の知る権利を侵害する恐れがあります。

ㅤ何より、緊急事態宣言によって、国民の権利が大きく制限されるにもかかわらず、国会の事前承認は定められていません。

最後に


ㅤ巨大な権限を首相に認めるこんな問題だらけの法律が、ほとんど審議されることなく成立してしまいました。でも、成立してしまってからでも遅くはありません。政府に緊急事態宣言の要件や緊急事態の収束の要件を明確にさせ、国会の事前承認を求めていきましょう。

ㅤ新型コロナウィルスは、今日も世界中で猛威を振るい、多くの死者を出し、未だ収束する兆しは見えません。新型コロナ特措法が成立する以前から、学校の休校、イベントの自粛、在宅勤務、外出の自粛など対策がとられてきました。必要なのは、新型コロナに対する科学的知見に基づいた対策と疲弊した国民生活に対する対策です。「緊急事態」を宣言すれば新型コロナを封じ込めることが出来る訳ではありません。
ㅤ新型コロナを封じ込めるために、国を挙げて、いえ、世界中が協力して、対策を講じなければならないことは言うまでもありません。パンデミックが宣言されている今こそ、世界各国が協力して新型コロナの治療法の確立と対策を進める時です。

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