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<自民党総裁選挙から改めて一票の価値を考える>


弁護士 吉川哲治

1 去る9月29日、自由民主党の総裁選挙が行われ、最終的に岸田文雄氏が新   総裁に選出されました。このまま何事もなければ、菅首相の退任後に岸田氏が新首相に選出されることになるでしょう。
  既に世の中の関心は、自民党の役員人事や各大臣の顔ぶれ、その後に予定されている総選挙の行方に移っていますが、この記事では敢えて、自民党総裁選挙の結果を振り返ることで、投票価値の平等がいかに大事かということを述べさせていただきます。


2 まずは簡単に結果を振り返ります。
  4人が立候補し(岸田文雄氏、河野太朗氏、高市早苗氏、野田聖子氏)、得票数は以下のとおりで、1回目は誰も過半数を取れませんでした。
      議員票   党員算定票   合計票
岸田氏  146票   110票   256票
河野氏   86票   169票   255票
高市氏  114票    74票   188票
野田氏   34票    29票    63票
  上位2人の決選投票となり、結果は以下のとおりでした。
議員票   都道府県票  合計票
岸田氏   249票    8票   257票
河野氏   131票   39票   170票


3 さて、ここで着目したいのは、1回目の党員算定票と、2回目の都道府県票です。それぞれについて説明しますと、党員算定票とは、各候補が党員から獲得した実際の票数に比例して382票(議員票と同数)を配分した結果であり、都道府県票とは、各都道府県において党員からの票数が多かった候補が、都道府県毎に1票ずつを得た結果です。
1回目では拮抗していた岸田氏と河野氏ですが、決選投票において、都道府県票では河野氏が圧勝しているにもかかわらず、その割合が余りにも小さいため、議員票で100票以上上回っている岸田氏が勝負を制した結果となった訳です。


4 しかし、1回目では議員票と同数とされた党員算定票が、なぜ決選投票では都道府県の数(=47票)にまで減らされてしまったのでしょう。議員票の価値は全く同じであったのに、党員票の価値は、決選投票では、1回目の12.3%にまで減らされてしまったわけです。
仮に、都道府県票の価値を議員票と同じにしていたら、以下の通り、結果は逆転していました。しかし、実際はそうはなりませんでした。この結果には、自民党の党員も納得いかないのではないでしょうか。
議員票   都道府県票   合計票
岸田氏   249票    65票   314票
河野氏   131票   317票   448票
このように、投票価値の平等は、選挙結果に直結するものであり、引いては国の行く末を左右しかねない重大事であることがお分かりいただけると思います。


5 現在の国政選挙では、今回の例ほど極端ではありませんが、3倍ほどの一票の格差が生じています。ある選挙区の有権者の投票価値が、別の選挙区の有権者の投票価値の33%程度になってしまっているのです。
もちろん、現在の選挙制度の仕組みでは、ある程度の一票の格差が生じるのはやむを得ないでしょう。しかし、それでも、2倍以上の格差が生じることは許されることではありませんし、技術的にも一票の格差を2倍未満にすることは十分に可能なのですから、速やかに一票の格差は解消されるべきだと考えます。そして、理想を言えば、選挙制度そのものを、比例代表制などの、一票の格差が生じにくいものに変えるべきだと考えます。

以上

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