憲法
続 憲法9条のピンチ!! のりちゃんのノリノリ憲法!
のりちゃん…世界平和を願いながら日々法律を勉強しているけど、解らないことだらけ。 MEGANE…某弁護士。

MEGANE先生!最近、「いよいよ憲法9条改正か」っていう記事をSNSでたくさん見るよ!

高市首相は就任後初の自民党大会で「27年春までにめどを。」とか「時は来ました。」なんて言っているし、本当に9条改悪を強行しようとしている感じがするね。

「9条は世界の宝」なのに本当に変わっちゃうの?

それを考える上で、まず、憲法はどんな役割をしているのか、法律とどう違うのか、おさらいをしてみようか?

えーっとね。法律は国会で作るんだけど、その内容はどんなことを決めてもいいというのではなくて、憲法が決めているルールに違反する法律を作ることは許されない、ってことだったよね。

正解。「憲法は国民ではなくて権力者を縛るもの。」というのは、そういう意味なんだ。じゃあ、憲法9条は、どういう意味で権力者を縛っているのかな?

戦争の放棄と武力を持たないということだよ。

そうだね。じゃあ自衛隊は軍隊ではないのかな?

うーん。名前は自衛となっているけど、戦闘機も戦車もあるし、最近はミサイルも持てるなんて言っているから軍隊のような気もする。

そうすると、自衛隊は憲法違反だから今すぐ解散しなければならないのかな?

うーん。でもロシアのウクライナ侵攻とかあるので、日本が外国から武力で攻撃されたら私たちの命はどうやって守るのか、不安な気もするし…。

そうだね。ただ、過去の侵略戦争は、「自衛のため」という名目で行われてきたという歴史があるから国民の命を守る「自衛」の名目なら無制限に軍備をしてもいいという訳にはいかないよね。

そうすると、今ある自衛隊については、どう考えたらいいのかな。

1972年の政府解釈では、憲法9条の解釈として、「前文と13条の幸福追求権とを合わせて考えると、戦争と武力は放棄しているが、自国の平和と安全を維持するための自衛権は禁じられていない。しかし、それはあくまでも①自国に対する急迫不正の侵害を排除して、国民を守るためのやむをえない措置として②必要最小限の範囲に止まる。③また他国に加えられた武力攻撃を阻止するための集団的自衛権の行使は許されない。」とされているんだ。この解釈によれば、自衛隊の実態が、上記の3要件の範囲に限定されている限り憲法に違反しないということになるんだよ。

んー、どういう意味??

具体的には、①敵国に対する攻撃的兵器(長距離ミサイル、航空母艦など)は持てない、②海外派兵はしない、③他国への武力行使に対抗するために武力を用いる(集団的自衛権)ことは許されない、④1976年11月に当時の三木内閣による防衛予算はGNP1%以内にとどめるという政策、⑤武器の輸出は禁止する、などの政策が維持されてきたんだ。

そうなんだ。その制約はちゃんと機能しているの?

②の海外派兵については、1990年の湾岸戦争のときに、アメリカから「boots on the ground」と言われて派兵を求められたものの、当時の海部内閣は憲法9条の制約を根拠に派兵を断って資金提供にとどめたんだ。最近のアメリカのイラン侵攻についても、高市首相がトランプ大統領から協力を求められたが、「法律上の制約がある」という言い方で自衛隊の派遣は断った経緯があるよ。

確かに、これで派兵していたら戦争に加担することになっちゃうもんね。平和憲法がちゃんと機能しててよかった。

それがね、そうとも言えないんだ。①の敵基地攻撃能力は、トマホークミサイルの導入や、空母への改修でOKになりつつあるし、③の集団的自衛権については、安倍内閣の時に、1972年の閣議決定を変更して、「存立危機事態」という要件で限定的な集団的自衛権を認めてしまった。また④の武器輸出禁止も、高市内閣になって殺傷兵器も輸出OKになってしまったね。それに防衛予算も26年度予算ではGDP比でほぼ2パーセントになってるんだ。

それじゃあ、憲法9条の制約のもとでの自衛隊といっても、もう制約は無視されているということ?

うん、そういわれても仕方がない実態があるよね。でも、それなのになんでさらに憲法9条の2という新しい条文を作って自衛隊を位置づけるという改正をやろうとするんだと思う?

「自衛隊は憲法違反という人がいるから」という説明を聞いたことがあるよ。実際には自衛隊のことを憲法違反という人がそんなにいる印象はないんだけどね。

確かに憲法違反と主張する政党の議席は極めて少数だよね。

だとすると、わざわざ、憲法改正する理由じゃない気がする。何だか本当の狙いを隠しているのかな。

そうだね。本当の理由は、自衛隊を憲法に位置づけることによって、歯止めとなっていた専守防衛、必要最小限の武力などの要件を取り払ってしまいたいということだと思うよ。だから、例えば2015年に制定された安保法制では憲法9条のもと極めて限定的な要件でしか集団的自衛権を発動できなかったんだけど、憲法9条の2を追記することでその限定がなくなり、アメリカに求められればいつでもどこへでも自衛隊を出動できるようになってしまうかもしれないよね。

それってこれまで巻き込まれなかった戦争に巻き込まれに行くようになるってことだよね。そんな大事なことを言わないで「1mmも変わりません」とか「違憲という政党があるから」とかいって「現状の平和主義を維持しつつ、自衛隊の存在だけを追認しようとする「加憲(かけん)」のアプローチです」と説明するのはなんだか解せないなあ。

権力者を縛る憲法を権力者自身が変えたいと主張するときには、その説明の裏になにかないかを勘ぐるくらいがちょうどいいと思うよ。

みんなと平和に暮らしていきたいから後悔しないようにしっかりと考えるね。
































