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信託ってなあに?

 民法が改正され、後見制度が新しくなることが予定されています。
 ご家族がご高齢であったり、障害があるなどして、将来が不安だというご相談を受けるときに、「家族信託というのものがあるときいたんですけれど……」というお話を聞くことがあります。
 信託の意味がわからなくても、投資信託、という単語は皆さんにも聞き覚えがあるかもしれません。
 それでは、信託とは何なのでしょうか。後見とは何が異なるのでしょうか。
 
 信託とは、「①委託者が信頼できる②第三者(受託者)に③財産権を移転し、④一定の目的(信託目的)に従い、受託者が⑤受益者のために当該財産(信託財産)を管理・処分する制度」です。
 難しそうな単語が多いですが、一つずつ見ていきましょう。


 ①委託者

 まずは、信託を行おうとする人が必要です。信託の財産を元々持っている人です。

 ②受託者

 受益者のために、信託財産を管理処分する人です。この受託者が、委託者の家族である場合を、家族信託と呼ぶことが多いです。ただし、信託は受託者の利益のために設定することはできません。

 ③財産権の移転

 信託の対象となる財産は、委託者から受託者へ、預けられるのではなく、権利ごと移転します。そこが、委任や代理などとの違いです。

 ④信託目的

 信託の一番重要な部分です。受託者がどのように財産を管理処分するかを決めます。ただし、実現不可能な目的では信託は無効となるなどしますから、慎重に行われなければなりません。

 ⑤受益者

 信託財産の管理処分により利益を受ける人です。委託者と同じ人に設定することもありますし、違う人にすることもできます。
 
 信託が実際に活用される例を考えてみましょう。
 例えば、現在は元気で認知機能も低下していない高齢の男性が、最近配偶者が亡くなったことで気落ちしており、家もバリアフリーではないため、施設入居を検討しています。
 年金だけでは施設の費用をまかなえませんが、今まで男性が住んでいた不動産を賃貸に回して、その収入を施設の費用に充てたい、と考えるとします。
 その場合、男性を「委託者」兼「受益者」とし、娘を「受託者」、不動産を「信託財産」として、信託を設定することが考えられます。
 すると、男性の認知機能が低下したり、思うように動けなくなった場合でも、不動産の賃貸人は娘となっているので、不動産の賃貸を問題なく継続し続けることができます。
 ただし、信託は認知機能が低下してから設定することは原則できませんので、この例のように、ご本人の認知機能が問題のない場合から設定しておく必要があります。

 それでは、後見と信託はどのように異なるのでしょうか。
 まず大きな違いは、後見は裁判所の監督の下で行われる、ということです。後見を、第三者が関与するということで忌避されるご家族もおられるようですが、その分、後見は裁判所から厳しく監督され、使い込みなどを防げます。
 それから、信託は本人の認知機能に問題がない時点で行うものであるのに対して、後見は本人の認知機能に問題が生じてから行われるものです(任意後見制度など、認知機能に問題がない時点から備えておくことはできます)。
 また、信託はあくまで財産管理の制度ですので、後見が行うような、高額の買い物の取消しや、施設入所の際の契約などは行うことができません。
 ですので、信託だけで将来の不安すべてに対応することは困難であり、後見制度などとの併用が必要になるでしょう。

 少し前に、家族信託という単語がよくメディアなどでも取り沙汰されるようになりましたが、信託は自由度が高い分、裁判所の監督にも服さず、設定が困難な部分もあり、なかなか万能の制度とも言えません。
 新しい後見制度についても、施行されましたら、またこのブログにてご紹介したいと思っております。
 ご家族のこと、ご自身のことなど、お困りの場合には、まずは弁護士にご相談ください。

この記事の担当者

平野 弥優
平野 弥優
多くのよい出会いに恵まれ、念願叶って弁護士となることができました。今後とも、様々な方との出会いを通じ自分自身を成長させていきたいです。
弁護士が介入することで、困難な状況の解決が円滑になり、ご本人の負担も減らすことができる場合は多いです。弁護士として皆さんの困りごとを解決し、依頼者の方が前を向いて歩き出すための力になれるよう、力を尽くします。

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