その他個人の相談

喫煙と法

弁護士 酒井寛

私は、昨年まで喫煙者だったのですが、本年の2月から禁煙をしております。
既に半年以上、禁煙に成功していることになりますが、まだ、食後や仕事が一段落した後に「一服吸いたい」という気持ちに襲われることがあり、まだまだ、予断を許さない状況です・・・。

1 喫煙に関する法律など

ところで、喫煙に関する法律には以下のようなものがあります。

・一定の人の喫煙を禁止する法律
未成年者喫煙禁止法」など

・特定の場面での喫煙を禁止する法律
鉄道営業法」第34条など
※プラットフォームや電車内の内、喫煙が許されていない場所において、制止されたにも関わらず喫煙したものには一万円未満の罰金が課せられる。

・その他
労働安全衛生法」第71条の2~4、「健康増進法」第25条
※事業者や学校、病院等の多数の者が利用する施設の管理者について、受動喫煙防止のために必要な措置を講ずるように努めなければならないとされている。など多数・・・

また、「ポイ捨て禁止条例」など喫煙に関する条例も存在します。

このように、喫煙を制限する法律、条例などは多く存在します。

さらに、裁判例においても、マンションの住民がベランダで喫煙していたところ、真上の階の住民が、その煙がストレスとなって体調が悪化した等として、ベランダで喫煙をしている住民に対して慰謝料を請求したという事案において、この慰謝料請求が認められたというものなどが存在します。

2 喫煙をする権利

それでは、逆に、「喫煙をする権利」というのは認められているのでしょうか?
この点、最高裁判所は、「喫煙の自由は、憲法13条の保障する基本的人権の一に含まれるとしても、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない」としました(この判例は、「拘禁されている者」という、特殊な状況にある人のケースではありますが・・・)。

最高裁判所大法廷昭和45年9月16日判決

 監獄の現在の施設および管理態勢のもとにおいては、喫煙に伴う火気の使用に起因する火災発生のおそれが少なくなく、また、喫煙の自由を認めることにより通謀のおそれがあり、監獄内の秩序の維持にも支障をきたすものであるというのである。

 右事実によれば、喫煙を許すことにより、罪証隠滅のおそれがあり、また、火災発生の場合には被拘禁者の逃走が予想され、かくては、直接拘禁の本質的目的を達することができないことは明らかである。のみならず、被拘禁者の集団内における火災が人道上重大な結果を発生せしめることはいうまでもない。

 他面、煙草は生活必需品とまでは断じがたく、ある程度普及率の高い嗜好品にすぎず、喫煙の禁止は、煙草の愛好者に対しては相当の精神的苦痛を感ぜしめるとしても、それが人体に直接障害を与えるものではないのであり、かかる観点よりすれば、 喫煙の自由は、憲法13条の保障する基本的人権の一に含まれるとしても、あらゆる時、所において保障されなければならないものではない。

 したがって、このよう な拘禁の目的と制限される基本的人権の内容、制限の必要性などの関係を総合考察すると、前記の喫煙禁止という程度の自由の制限は、必要かつ合理的なものである と解するのが相当であり、監獄法施行規則九六条中未決勾留により拘禁された者に 対し喫煙を禁止する規定が憲法13条に違反するものといえないことは明らかであ る。

極めて簡単に言えば、喫煙をする権利は認められているものの、いつでも、どこでも喫煙して良いというわけではなく、周囲の人の迷惑になるような喫煙の仕方は許されないということです。当然ですよね。

私は、愛煙家であった時代が長いですし、煙草を吸う人の気持ちは良く分かります。
(今のところ)禁煙に成功した現在においても、喫煙行為自体を否定する気持ちにはなりません。
他方、禁煙をすることにより、喫煙者の煙草の匂いに気づくようになるなど、喫煙行為に嫌悪感を持つ人の気持ちも少し分かるようになりました。
社会においては、色々な趣味嗜好を持つ人々がいます。
私が考える「良い社会」というのは、様々な個性を持つ人々がお互いを尊重すると共に、他人に迷惑を掛けないように最低限我慢すべき点は我慢することによって、できる限り多くの人々が気持ちよく暮していける社会です。
愛煙家もそうではない人も共に気持ち良く暮らせるよう、喫煙者の方においては、喫煙に関する法律や条例はもちろん、法律や条例にまではなっていないものの、守るべき「喫煙マナー」をもしっかりと守って喫煙していただきますよう、宜しくお願いいたします。

この記事の担当者

酒井 寛
酒井 寛
依頼者や相談者の方々から良く「話しやすい」と言っていただくことがあります。今後も、依頼者や相談者の方々のお話にじっくりと耳を傾けることができる弁護士であり続けたいと思っております。

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