その他

弁護士業務と生成AI

弁護士酒井寛

1 ChatGPTなどの生成AIが飛躍的な発展を遂げており、既にビジネスの様々な場面において活用されています。


  弁護士業務についても、この流れには逆らえないと思い、私は生成AIに関する種々の講義を受けるなどしています。

2 弁護士業務において、生成AIを役立てることができるのは、たとえば、以下のような場面だということです。

 ① 文章の要約

 ex)依頼者との打ち合わせ内容の詳細なメモについて、そのままでは冗長であり、 後日に参照しにくいので、簡潔かつ要点をついたものにしてもらう。

 ② 文章の校正

 ex)訴状の提出前に誤字脱字などがないか確認してもらう。

 ③ 翻訳作業

 ex)英文の契約書を翻訳する。

 ④ アイデアの提供

 ex)賃貸借契約の解除を避けるためにはどのような方法があるかについて、とりあえず、可能な限りのアイデアを出してもらう。

  なお、当然のことながら、弁護士自身が、生成AIによって挙げられたアイデアが妥当なものかを検証することが必要です。

 ⑤ 問題点の指摘

 ex)契約書案について、とりあえず、考えられる問題点や改善点を洗い出してもらう。

 こちらについても、弁護士自身が、生成AIによって挙げられた改善点が妥当なものかなどについて検証することが必要です。

 ⑥ そのほか様々な場面における情報収集


 こちらについても弁護士自身による情報の正確性の検証が必要不可欠です。

3 他方、生成AIに頼ることが難しい分野として、以下のようなものがあるとのことです(2025年6月時点)。

 ① 感情にもとづくアドバイス

 ② 未来の予測

 生成AIは、過去のデータに基づいて情報を生成するためです。

 ③ 専門的なアドバイス

 生成AIは、インターネット上の過去のデータに基づいて情報を生成するところ、
専門的な分野についてはインターネット上の情報量が少ないためです。

 ④ 個人情報の取り扱い

 入力した個人情報がほかの機会に回答として表示され、第三者に漏洩してしまう リスクがあります。

 ⑤ 最新情報の提供

 一定の時点よりも前に存在するインターネット上のデータに基づいて情報が生成されるためです。

4 弁護士業務は、依頼者の感情に寄り添いながら、最新の判例なども含めた専門的な知識を駆使して、回答がない未知の問題への対応を考える仕事です。そして、当然、多くの個人情報を取り扱います。

 したがって、弁護士業務については、生成AIに多くを頼ることはできなさそうです。
 裏を返せば、そのような生成AIにあまり頼ることができない仕事を的確に行うことができるのが弁護士の存在意義だと思います。

 これからも、このような弁護士にしかなし得ない仕事をする能力を高め続けるとともに、生成AIを活用できる分野については積極的にこれを活用して業務の効率化を図り、より迅速かつ的確な法的サービスが提供できるよう、日々努力をして参ります。

この記事の担当者

酒井 寛
酒井 寛
依頼者や相談者の方々から良く「話しやすい」と言っていただくことがあります。今後も、依頼者や相談者の方々のお話にじっくりと耳を傾けることができる弁護士であり続けたいと思っております。

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