憲法

憲法9条ってなぁに??のりちゃんのノリノリ憲法!

のりちゃん…世界平和を願いながら日々法律を勉強しているけど、解らないことだらけ。 MEGANE…某弁護士。

のりちゃん

ねえM先生。最近、ロシアによるウクライナヘの軍事侵攻や、北朝鮮のミサイル発射とかがあって、「国を守るために今のままてで良いのか」という声も聞くし、政府が「敵基地攻撃能力」とか「軍事予算
を律2倍に」とか言っているでしょ?友達的と話をしていても、「9条は守らなくちゃ」とか「攻められたらどうするの」とかいろいろな意見もあって、分からない事が沢山あるんだ。

MEGANE

なるほど。ノリちゃんは、憲法9条ってどんな条文か知っ
てる?

ネットで調べるからちょっと待っててー!

日本国憲法第二章戦争の放棄
第九条① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

なんか難しい言葉だけど、要するに、日本は戦争をしない、そして
戦争するための軍隊も持たないってこと?

そうだね。そのとおりだね。

じやあ、9条はどうして出来たの?

話は、日中戦争から第2次世界大戦まで遡るよ。
第2次世界大戦前の日本は、戦艦大和やゼロ戦の戦闘機に象徴されるように、軍事大国だったんだ。中国大陸や朝鮮半島に軍隊を派遣して侵略し、これを批判したアメリカや国際連盟に反発して、国際連盟を脱退し、アメリカにまで戦争を仕掛けて、東南アジアや南太平洋地域まで軍隊を進めて、無謀な戦争を進めていったんだよ。

なんでそんな無謀な戦争をしちゃったの…?

戦争では「アジアの解放」とか「大東亜共栄圏」というもっともらしいスローガンを掲げていたんだよ。

でもね、結局はアジアの国々にも世界にも理解されなくて、他国民の立場、日本と相手国との軍事力の冷静な判断も出来ずに突き進んだ戦争だったから、日本国民とアジアの人々に大変な被害をもたらすという悲惨な結果に終わったんだ。

なんて勝手な…

戦争末期には、東京や名古屋、大阪など日本の主要な大都市はアメリカの無差別爆撃によって何万人という女性やお年寄り、子どもも含む一般市民が犠牲になったし、広島・長崎には原子爆弾まで投下されるなど想像を絶する被害も起きて、ようやく日本は無条件降伏することになったんだ。日中戦争から第2次世界大戦による死者は、日本人が310万人、アジアで2000万人と言われているよ。

酷い…。

なぜ9条が出来たか、というところに戻るんだけど、戦争で310万人を超える人命が失われ、都市は焼け野原になり、アジアの人々にも大きな犠牲を強いる事になり、国民は誰もが、もうこりごりだ、二度と戦争はしたくないと思ったんだ。それで、戦争が終わってから、戦争後の再出発にあたって、戦争は二度としないという誓いを立てようという事になったんだ。

大事な誓いだね。

加えて、日本を占領した第2次世界大戦の戦勝国であるアメリカを中心とする連合国が、日本の新しい憲法を作るにあたって、日本が二度と戦争を起こさないようにするために、徹底した平和国家にしなればならないと考えたんだ。それで、再軍備の禁止と、戦争の背景となった人権無視の政治を繰り返させないために、徹底した人権の保障を盛り込むことにしたんだよ。後者の点は前回取り上げたね。

そんな背景があったんだね。

日本国民も、親兄弟を戦争で亡くしたり、空襲で焼け出されたり、軍人が威張って、批判的な意見を言ったら投獄されるような生活を強いられていたから「戦争放棄と軍隊を持たない」には諸手を挙げて大賛成だったんだ。

そっかあ。そういえば、憲法では「軍隊を持たない」はずだから、自衛隊があるのは憲法に反しないの?

そうだね。9条をみると、全ての軍備が禁止されているようにも思えるよね。だから、自衛隊は憲法違反だと。

そう。でも一方で、自衛隊がなかったら、もしもウクライナみたいに日本が外国から攻められたときに、自分たちの国を守れるのかな?とか心配だよ。自衛隊は、国を守るための組織だし、災害時に救援活動をしてくれたりするから、その活動自体は歓迎されてるよね?

そうだね。平和外交に力を入れることは大前提として、現実の問題として、憲法9条のもとで、日本の国土と国民を外国の武力行使からどうやって守るのか、という問題があるね。

残念だけど、9条を印籠のように掲げるだけじゃ難しそうだからね。

そうだね。さて、9条が放棄したとする「戦争と武力」とは何かについて、様々な解釈が展開されてきたんだよ。安倍内閣になる前の歴代の政権は、9条は他国による日本に対する一方的な武力行使があったときに、国を守るために武力を行使する事までは禁止していない、そのための武力の保持も禁止されていない、という考え方を基本的には採っていたんだよ。

なるほど。

この考え方によれば、具体的な制限の基準として、「自衛のための戦力」を保持するとしても、それは「他国の国土を攻撃するための武力」は許されないんだ。国土防衛である「専守防衛」に限り、また戦力についても「自衛のための必要最小限度の戦カ」に限られると限定して解釈していたんだよ。

うーん。日本の国土を守るための戦力ってことだけど、「攻撃こそ最大の防御」とか言い出す人もいるんじゃないかな?

そうかもしれないね。でもね、この考え方だと、「自衛権」というのは、あくまでも日本に対する直接的な攻撃があったときに発動するという「個別
的自衛権」に限られるんだ。だから、日本と関わりのある別の国に対する攻撃に反撃する「集団的自衛権」の行使は許されないとしていたんだよ。

あくまでも日本が直接攻撃を受けた時なら反撃できるってことね。
じゃあ「必要最小限の戦力」というのはどの程度なの?

「自衛のための最小限の武力」だから、「専守防衛」と矛盾する航空母艦とか、長距離爆撃機、長距離弾道ミサイルなどの攻撃的兵器の保持は許されない、と考えていたんだ。

そっか。じやあ9条があるからこそ日本は平和でいられるし、9条があっても、日本は守られるから安心だね。

そうとは限らないんだ。安倍内閣以降ここ数年、政権が「専守防衛」のタガを、とり払ってしまうような様々な動きを見せていて、9条は危機的状況にあるんだけど、時間が来ちゃったから、この話は、次の機会に話そうか。

なになに?気になる!!

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