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みなさんの職場は大丈夫?LGBT(セクシュアルマイノリティ)へのハラスメント対策

弁護士 水谷陽子

昨年(2020年)6月1日、いわゆるパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されました。

この法律により、雇用者には職場におけるパワーハラスメントの防止対策が義務付けられました。

大企業では施行日から、中小企業では来年4月1日から義務が生じます(中小企業も既に努力義務が生じています)。

みなさんの職場では、対策は進んでいるでしょうか?

働く方も、事業者の方も、一度チェックしてみてください。

パワハラ防止法に伴い厚労省が作成した「職場におけるハラスメント関係指針」では、セクシュアルマイノリティへの視点も盛り込まれました。

この視点はまだまだ社会全体に広がっていないように思うので、このブログで解説いたします。

1点目は、いわゆる「SOGIハラ」です。

パワハラの一類型である「精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)」に該当すると考えられる例として「人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。」と明示しています。

「性的指向・性自認」という言葉はご存じでしょうか。

「性的指向」(セクシュアルオリエンテーション、頭文字をとって「SO」)とは性愛の対象がどのような性別の人に向いているかということです。

この社会では、性的指向が異性に向いている「異性愛者」だけでなく、性的指向が同性に向く「同性愛者」や異性や同性のいずれにも向く人など、様々な人が暮らしています。

異性愛者の割合がとっても多いため、「自分の周囲には同性愛者はいない」と思っている方も少なくありませんが、実は以外と身近にいます。

「性自認」(ジェンダーアイデンティティー、頭文字をとって「GI」)とは、自分の性別をどのように自覚しているかということです。

身体の生物学的な性別をもとに戸籍上の性別が割り当てられますが、こうした身体・戸籍とは異なる性別を自覚するという方もいます。

(自認する性別で社会的に生活をするかどうか、戸籍を自認する性に変更するかどうかは人によって様々ですし、その選択のそれぞれが重要な自己決定です。)

長らくメディアなどでセクシュアルマイノリティが嘲笑や侮蔑の対象とされてきたことなどの影響で、「ホモ」「おかま」などと飲み会で笑いのネタにされたり、職場でいじめの対象にされたりなど、身近な人間関係の中でもまだまだ多くの差別や偏見が存在しています。

指針がこうしたハラスメントの防止を掲げたのは重要です。

2点目は、いわゆる「アウティング」です。

パワハラの一類型である「個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)」に該当すると考えられる例として「労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。」を挙げています。

性的指向や性自認は、とても繊細なプライバシーにかかわる情報です。

そして、上述のとおり、性的指向や性自認を理由に深刻ないじめやハラスメント、差別の対象にされてしまう危険性があるという社会の状況を踏まえると、性的指向や性自認を自分の判断とは関係なく他人に知られてしまうことは、当事者に大変な恐怖や不安や生じさせます。

「職場でLGBTに関する理解を深めたい」と考えたときに「当事者が、知っておいて欲しいと望む相手に安心して自分の性のあり方を話せる」という観点にばかり目を向けがちですが、「知られたくないことを隠しておける。詮索されないで済む」という観点も重要ということです。

さて、皆さんの職場ではどうでしょうか?

事業者の方は、ハラスメント防止のための指針策定や研修など、検討してみてはいかがでしょうか?

労働者の方は、セクシュアルマイノリティ当事者として職場でしんどい思いをしているのであれば、職場の環境改善の交渉を申し入れるという選択肢があります。

また労働組合で活動されている方は、学習会の開催や、職場へのハラスメント防止の施策を要求するなどご検討してみてください。

弁護士としてご相談にお応えします。お気軽にご相談ください。

この記事の担当者

水谷 陽子
水谷 陽子
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