憲法
スコットランド独立問題と日本国憲法
9月19日、スコットランドの独立の是非を問う住民投票が行われました。結果は皆さんもご存知だとは思いますが、独立反対の票が賛成の票を上回り、スコットランドは英国に残留することになりました。
ところで、今回のスコットランドのように、たとえば北海道や沖縄県等、日本の都道府県や市町村が日本からの独立を求めた場合、住民投票の結果によっては独立を認めるということが、日本国憲法上可能なのでしょうか。
日本国憲法第92条には、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」とあり、地方自治が認められています。
そして、「地方自治の本旨」の内容には「住民自治」、すなわち、地方の政治がその地方の住民の意思に基づいて行われるということが含まれています。しかし、「地方(都道府県や市町村)の独立」に関する規定までは置かれていません。
この点、かつて大森政輔内閣法制局長官(当時)は、1997年2月13日の衆院予算委員会で「独立というのは一国の主権、領土から離脱することであり、現行憲法はそれに関する規定がない。適法にそのような行為(独立)はできないのではないか」と答弁しています。
このように、現在のところ、一般的には、日本国憲法のもとにおいて日本の都道府県や市町村が合法的に日本から独立することはできないと解されています。
今回のスコットランドの独立を求める声には、英国による社会保障費の削減等に対する抵抗という側面がありました。英国にとっては今回の結果は望ましいものだったのでしょうが、今後、スコットランドの人々の声にどのように応えて行くか、課題は山積であるといえます。
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