法律トピックス
喘息悪化で「過労死」高裁でも勝利

弁護士 海道 宏美
2002年5月1日


 電機設備工事会社住友電設に勤務していた夫が気管支喘息を悪化させて死亡したのは過労が原因として、鈴木美穂さんが名古屋東労基署長を相手に遺族補償年金等不支給処分の取消を求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高等裁判所は、3月15日、地裁判決に引き続き「過労死」と認めて労基署側の控訴を棄却した画期的な判決を下しました。

 高裁では、労基署側は、メジヘラ(気管支拡張剤)の過剰使用や喫煙が原因などとして、医学的な立証を試みましたが、判決は明快に右主張を排斥し、内容も(一)被災労働者の基礎疾病を自然経過を超えて悪化させれば足り、「著しく」悪化させる必要はない(二)基礎疾病を有する労働者の業務の過重性等は、当該労働者の健康状態の実質をも考慮して判断すべきであり、同僚と比べて過重である必要まではないとしたこと等の意義があります。

 気管支喘息の労災認定を肯定した判決は、原審が全国初めてで、高裁でも維持された本件判決は、気管支喘息悪化による過労死救済の道を大きく広げるものといえます。これを受けて、今後は労災認定に喘息を対象とする基準を作らせる働きかけを強める必要があります。

 この判決を受けて、名古屋東労基署が上告を断念しましたので、喘息による「過労死」の判決が確定しました。

地裁判決を上回る
 平成元年11月、42歳の若さで夫が死亡して以来、12年5ヶ月、本当に長い闘いでした。この間、皆様方に支えられ、強力な4人の弁護団と、5人目の弁護士と言われる協立総合病院の高木医師の証言により、地裁判決を上回る内容の勝利判決をいただき、心より喜んでおります。私は、夫の死は仕事が原因であると言い続けてきました。発病してから死ぬまで、その間の仕事の様子等で、そのように思う材料があったからです。

 現行の労災保険制度では、申請者が労働の過重性を立証しなければなりません。この理不尽なことを二度も立証したのに労働省は認めようとしません。上告したのなら、仕事が原因でないことを証明すべきです。ところが高裁の審理内容は、タバコとクスリの件だけで中味のない闘いでした。長い闘いも、主文二行の言い渡しによりうれし涙に変わり、ただただ真実に目を向けてくれた裁判官に感謝です。労基署の上告断念は当然のことです。同じ立場の方々を支え続けることが出来るといいなあと思っています。  

鈴木美穂
鈴木過労死裁判原告