法律トピックス
定期借家契約施行
慎重さ要する店舗事業用

弁護士 村上満宏

定期借家とは

 今までは、仮に借家契約書の借家期間が二年間となっていても、正当な理由がない限りは、契約は更新され(法廷更新といいます)、借家二年後も、安心して居住することが出来ました。
 しかし、今年の三月一日からは、定期借家契約を結ぶと契約で定めた期間が到来すれば、その契約は修了するということになってしまいました。
 要するに、今までは借家契約に期間があっても長期間、安心して住んでいられたのですが、今後は定期借家契約を結ぶと、期間が来ると引っ越ししなくてはならなくなったのです。

定期借家契約の成立要件

 このように定期借家契約は借家人にとって厳しいものとなりますので、次のような要件を充たさないと定期借家契約とは認められません。すなわち@期間の定めのある借家契約であり、Aそれが書面であること、Bさらに大家が予め貸借人に更新がなく期間の満了により修了する旨の書面を交付して説明することが必要になります。

今後予想される事態

 今年の三月一日以後に新規の契約を結ぶときには、この定期借家契約が適用されますが、それ以前に借家契約をした方は、これまでどおりです。しかし、大家の方から「賃料を下げるから」とか「更新料は要らない」とか言われ、新たに契約を結ぶことを求められるケースが想定されます。
 その場合でも居住用の借家契約は、当分の間、定期借家契約が適用されませんので、合意しても無効ですが、店舗業務用の借家契約の場合は定期借家契約が可能ですので、期間到来によって引っ越ししなくてはならず、営業上も大きな損失となる可能性があります。それゆえ、目先の利益にとらわれて安易に既存の契約を合意解除し、新たな契約を結ぶことのないよう、慎重に将来を見据える必要があります。

(1998.4.15)