| 「成年後見制度」 |
| 「成年後見制度」と聞いても、「何それ?」と思われる方が多いのではないでしょうか。あまり聞き慣れない言葉だと思います。この成年後見制度というのは、今回の民法改正(案)で新たに制定されようとしているもので、判断能力を喪失した、あるいは不十分な成年者(痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者等)を援助・保護するための制度です。 たとえば、判断能力が不十分な人について、重要な財産の処分には本人が指定する人の同意が必要としておく、あるいはその人の親が亡くなったときの遺産分割協議について代理をする、また、生活費や入院費のためにその人の財産を売却する、定期預金を解約する代理をする、などのケースが考えられます。高齢者の財産管理という点で、家族に高齢者がいる家庭では無関心でいられない問題ではないでしょうか。 現行民法上は、禁治産・準禁治産制度及びこれを前提とする後見・保佐制度が設けられています。しかしこれらの制度に対しては、「禁治産」という名称に対する違和感、その名から窺われるように個人の財産保護というより「家の財産保護」という観点での制度であること、宣告の事実が戸籍に記載されることといった問題点が従来から指摘されていました。 今回の民法改正(案)では、高齢社会への対応及び知的障害者・精神障害者等の福祉の充実の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和を旨として、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度として成年後見制度が提案されたのです。 その大きな違いは、今までだと 「禁治産者=全面的な代理権」 及び 「準禁治産者=同意権及び取消権」 という二類型だったために、利用しにくいと言われていたのが、新制度では「補助」「補佐」「後見」及び「任意後見(公的機関の監督を伴う任意代理)」という類型になり、その保護の方法も本人の意思により部分的な代理権、同意・取消権が認められるようになるので、本人の自己決定権を尊重しながら、よりきめ細かな対応ができるようになります。 また、戸籍への記載が廃止され、新たな成年後見登記制度(仮称)が新設されるので、個人のプライバシー保護にも資することとなります。 このように、高齢社会に対応するために一定の制度改善がなされるわけですが、この制度はあくまで「事理弁識能力(判断能力)」の有無・程度のみを問題としているので、判断能力はあるが身体障害のために意志疎通が困難な障害者等の場合にはこの制度の対象外となります。このような人も射程に入れた障害者援助制度が必要なのではないでしょうか。 なお、この法案は、今国会において衆議院で可決されたのみで、参議院では継続審議となっていますが、次期国会で成立の見込みで、来年四月からの施行が予定されています。 |