組合つぶし許さない
【 萱津運輸事件 】
労働基準監督署に未払い残業手当の支払を申告して労働組合を結成したら、それを察知した社長(親会社の社長も兼務)がいきなり運送会社(萱津運輸)の解散を通告。そして非組合員のみを雇用して新たな運送会社(溝江運輸)を設立し、親会社(谷建材)の生コン運送はこれまでどおり。
これに立ち上がったのが4人の組合員でした。会社解散は組合つぶし目的の不当労働行為,偽装解散であるとして、2001年4月、会社と親会社を相手方として地位保全等仮処分を申立てました。その後,本裁判に切り替えて、会社が実質的には親会社と同一会社といえることを経営資料の分析などから明らかにしたり、親会社の指示のもとで新会社の準備を非組合員が行っている実態を写真や生コン車両の移動等から立証するなどしてきました。また、労基署にも再三、未払残業手当の迅速な計算を要請してきました。
他方、追いつめられた会社は、組合によるビラ配布を名誉毀損であるなどとして反対に損害賠償請求訴訟をおこしてきましたが、労基署による未払残業手当計算結果の提示を契機に、2002年12月、解雇撤回と未払残業手当を含む解決金支払などを内容とする和解を勝ち取りました。
親会社へ徹底した責任追及
【 上末運輸事件 】
会社(上末運輸)が突然、荷主の生コン会社(昭窯生コン)の閉鎖予定を理由に企業閉鎖・全員解雇を通告。2002年6月、8名の労働者が両会社と親会社(丸高)を相手に地位保全等仮処分等を申立てました。
しかし、その後、会社は破産、生コン会社も清算解散。親会社への雇用責任追及が最大の課題となりました。親会社は、中部新空港事業にも参加し、経営的にも優良で雇用の場もある。生コン会社も破産は選択せず、社長に高額の退職金を払う余裕がある。こうした事実が判明するにつれ、怒りが強まりました。そこで、上末−昭窯−丸高という一体性を設立経過や指揮命令の実態等から明らかにしたり、分会との協定書文言を駆使して、主張立証した結果、同じく同年12月に、解雇予告撤回と解決金支払等を内容とする和解が成立しました。
決め手は労働者・労働組合の闘い
両裁判とも、残念ながら雇用の継続はかちとれませんでした。しかし、いずれも会社自体の解散・破産のもとでの理論上困難な闘い。たちあがらなければ、無一文で泣き寝入り。それを乗りこえて勝利解決に導いた最大の要因は,労働者・労働組合の粘り強い運動とそれを支援する仲間の存在でした。
萱津運輸事件では、会社や社長宅周辺でのビラ配布宣伝や抗議集会・デモ行進、労基署への再三の申し入れ等。上末運輸事件では、名古屋駅前の親会社本社前で座り込み抗議や宣伝行動の繰り返し、中部国際空港会社への要請行動等。いずれも建交労所属組合で、支援共闘会議も結成されて、多くの仲間に支えられたことも当事者には大きな支えで、相手にはプレッシャーだったでしょう。
だからこそ、上末運輸事件では、親会社等から急遽話し合い解決の求めがなされ、萱津運輸事件でも社長が早期解決を求めるまで追い込んだのであり、まさに裁判と運動が両輪となって解決できた事件でした。
なお、当事務所からは、萱津裁判に海道、上末裁判に樽井と海道が参加しました。
(2003年3月25日 海道宏実)