地労委労働者委員「連合」独占に関し 裁判所から知事へ厳しい「注文」

地労委、労働者委員って何?

 みなさん、地労委労働者委員ってご存じですか?地方労働委員会は、主に組合への支配介入や不利益取り扱い等の不当労働行為など団結権侵害がなされた場合にその迅速・簡便・公正な救済を図るべく公益委員・労働者委員・使用者委員の三者で構成される独立の行政委員会です。そして、労働者委員は、労働組合と連携を密にとって解決を促進するという重要な役割を果たすものです。

裁判で訴えてきたこと

 ところが、1989年12月任命の第30期愛知地労委労働者委員は、これまで43年来の慣行を無視され、7名全員が「連合愛知」系列労組からの推薦者で独占されたのです。前労働者委員の成瀬さんすら排除されました。そこで、このままでは地労委が真に労働者の権利救済機関たりえないとして、愛知県と知事を被告として任命の取り消し(任期満了後は取り下げ、損害賠償請求に変更)を求めて、90年に提起したのが、今回判決のあった訴訟なのです。そして、裁判の中で、私たちは、人選が「反・非連合」の意図的排除のもとなされたこと、労組がやむなく労働者委員を忌避せざるをえないという異常事態も続発し、地労委運営に混乱が生じ機能が著しく低下していること等を訴えてきました。

 99年5月12日に言い渡された判決は、知事の裁量権を広く解釈し、違法とは認めなかった点では不十分なものでした。
 しかしながら、極めて異例のことですが、裁判長がわざわざ「知事へのお願いがあります」として、判決文の最後に記載された1000字を超える文章を朗読したのです。ここでは、「現に差別を受けている現場の労組や労働者が、対立している系統の労組が推薦した労働者委員を全面的に信頼できないのは無理からぬこと」と、弊害を指摘。裁判所としても、「労組運動において運動方針を異にする潮流・系統が存在する以上、労働者委員の構成においても多様性を有することが望ましい」と判断を示しました。そればかりか、委員の任命基準はないとの県の主張に対して、「任命処分の統一性を確保するためにも、また公正性、透明性を担保するためにも、任命基準を作成して公表することが望ましい」「労働者委員の任命は政治的であってはならないが、政治的であるとの疑問が生ずるだけでも問題であり、これを防止するためにも任命基準の作成、公表が有益」と積極的かつ明快な判断を下したのです。そして、最後に、知事に対して、「今後の労働者委員の任命に際し、より多くの労組及び労働者に支持されるようなさらに合理的な選任方法を検討されることを望む」と注文して結びました。この言い渡しに対して、傍聴席からは期せずして拍手がわき起こったのです。実質的には勝訴判決といえるものです。

一二月に向けてこれからが勝負

 弁護団と関係団体でさっそく協議した結果、控訴しないことに決定し、判決は確定。後続の33期・34期も取り下げました。
 本判決で裁判所が示した意義を広く県民に知らせ、12月の次期労働者委員任命の際には連合独占をうち破るべく、これからの運動が勝負です。