NTTリストラ裁判〜愛知訴訟で和解成立
2005年9月20日 弁護士 樽井 直樹

【大規模リストラと見せしめ配転】

 2002年5月にNTT西日本・東日本は、固定電話の事業のほとんどを、新しく設立する子会社にアウトソーシング(外注)し、それらの事業に従事していた従業員について、50歳以下の社員は子会社に在籍出向させ、51歳以上の社員については、NTTを退職したうえで、賃金を20〜30パーセント引き下げ、これらの子会社に再就職することを選ばせることによって、11万人もの社員を削減するという大規模なリストラを実行しました。
 このNTTリストラに反対して、退職再雇用を選択しなかった51歳以上の社員に対して、NTTは、今まで働いていた仕事はNTTになくなったとして、遠距離配転させ、今まで従事したことのない営業の仕事をさせるということを行いました。退職再雇用に応じなかったことに対する見せしめ配転というほかないものでした。

【7地裁で裁判】
 このような配転を受けた労働者が2002年9月、全国7地裁で、裁判を起こしました。名古屋では、金沢、富山、高知、津、福岡から配転されてきた6名が原告となりました。
 私たちは、NTTグループが大きな利益を上げており、赤字といわれる西日本も会社の存続が危ぶまれるという状態にないこと、NTTリストラは51歳以上の労働者を差別するものであること、NTTが労働者の「同意」を調達することで従来にないリストラ手法を合理化しようとしていることなどを積極的に主張し、会社側証人に対しても厳しい尋問を行い、会社が配転についてしっかりとした検討を行っていなかったことを明らかにしてきました。

【愛知訴訟の和解とその意義】
 このような中で、NTTは、愛知原告6名のうち、4名を地元方面に再配転するということを行いました。遠距離通勤などの問題は残るとはいえ、原告にとっては不利益が大きく減少するものでしたし、何よりも裁判途中に原告が再配転されるということ自体が異例でした。裁判所からも、和解による解決を打診されたため、残された長距離通勤の原告について配慮することと、会社が今後配転を行うときには社員や家族の状況に十分配慮することを約束することを内容として和解が成立しました。
 NTTでは、51歳になると退職再雇用の選択を迫るというリストラ方法が今も続いています。今回の和解は、退職再雇用を拒否した社員に対して、会社は何でもできるということはなく、様々な配慮をしなければならないことを明らかにしたという点で、NTTリストラを止めるうえで前進的な内容を持っています。
 今後も、他の裁判所の闘いをサポートするとともに、リストラを掲げれば何でも許されるという風潮をなくすためにNTTリストラに反対する取り組みを行っていくつもりです。