退職強要と賃金カットを許さない!早期の勝利和解で解決。

「腐ったミカン」と賃金カットで執拗な退職強要

 原告のAさんは、名古屋市内の広告代理店に勤務する51歳の女性。78年に経理事務職として勤務後、社長からの資金繰りの求めにも自らの貯金を無利子で貸し付けるなどして会社に尽くしてきました。ところが、95年になって突然社長から赤字を理由に退職勧奨。納得できないAさんが拒否すると、なおも社長は執拗に退職勧奨を続け、さらにはAさんを制作課へ配置転換、賃金も不明朗に一部カットまでしたのでした。その上直後には解雇通告まで受けたAさんは、組合(全国一般愛知地方本部あいち支部)に相談・加入し、組合を通して交渉した結果、解雇は撤回されました。しかし、その後も社長は「Aさんは会社のガンだ、腐ったミカンだ。腐ったミカンは他にうつるから取り除くのが自分の仕事だ。このままいても病気になるぞ、死ぬぞ」などと平然と言葉の暴力を発せ続けられ、そのストレスでAさんは十二指腸ポリープで入院を余儀なくされたほどでした。また、これを打開しようと組合が交渉しても、社長は「労組はごねるだけだ、ごね得というやつだ」などと朝礼で不当労働行為の発言を繰り返し、解決にはほど遠い現状でした。

勇気をもって勤務先を提訴


 そこで、Aさんは組合の援助も得て、勤務先を提訴することに決断したのでした。訴えは、3年分の違法な賃金及び賞与カット分として600万円余り、加えて執拗な退職勧奨やいじめ等による慰謝料として500万円の支払を求めるというものでした。99年3月の提訴には、おりしもリストラが横行していた雇用情勢もあってかマスコミも注目し各社の記事にも掲載されました。

意図的な賃金カットが証拠で暴露され、早期解決へ!

 裁判中も会社はAさんにほとんど仕事を与えないなどの不当な処遇を続けましたが組合の支えもあって耐えました。そして、訴訟の中では、こちらの釈明に応じて提出してきた会社側の証拠(給料内訳明細書)自体に数字のミスや事実との齟齬が発見されたのみならず、会社が賃金支給の根拠と主張する給料構成表どおりに給料内訳明細書で計算されていないことが判明したのでした。これだけ明白な証拠も発見され、Aさんも早期解決を求めたことから、裁判官も熱心に会社を説得。その結果、証拠調べなしで提訴後半年余りというこの種の訴訟としては異例のスピードで和解が成立しました。内容、会社がAさんに謝罪の意を表明するとともに、請求した賃金等カット分を上回る和解金の支払義務を認め、さらに過去1年分の賃金等をAさんの主張どおりと認めて雇用保険上の手続をする等という勝訴に値するものといえます。 Aさん自身は、残念ながら会社都合退職はしましたが、過去にけじめをつけて新たな出発を始めています。