レンタルスキー業者に適正な解放値設定義務

  いよいよスキーシーズン到来。皆さんもレンタルスキーを楽しむことが多いのではないでしょうか? しかし,ビンディングの解放値が強すぎてスキーが外れずに怪我をしてしまったら・・・。長野県のあるスキー場で重傷を負った当時8歳の小学生がレンタル業者を相手に損害賠償請求訴訟をおこしました。

 たまたまインターネット検索で発見した「日本スキー学会」のホームページ,そして私の地元福井大学の水沢助教授の協力により,スキーヤーの安全確保のための学問的研究成果を駆使して主張立証。ISO規格によれば,スキーヤーの体重・身長・技能レベル・靴底の長さ・年齢により個々人に適した解放値が算出されることとされ,欧米では徹底されているにもかかわらず,日本では曖昧にされたままの実態があります。本件でも,諸要素を記入させる申込書もなく,適正値から約1.5倍も大きく,しかも前後で解放値が異なるという初歩的なミスも加わりました。これに対して,レンタル業者側は,時間と労力を理由に個々人毎に調整するのは不可能と開き直り,初心者コースの逸脱や保護者の監督不十分等過失相殺も主張してきましたが,現地調査(遊び?)による写真や学会論文等で反論。その結果,裁判官も我々の主張をベースにレンタル業者を説得し,

1.本件事故への遺憾の意の表明
2.今後の安全確保への努力
3.和解金の支払

を内容とする和解が成立しました。水沢助教授によれば,日本初?の成果だそうで,今後のレンタル業者への営業方法の改善に与える影響は大きいとのこと。楽しく安全なスキーのために,行政による徹底した指導が求められるとともに,皆さんも御注意を!

   (海道宏実・2001/9 記)