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2000年11月27日午前10時、名古屋地方裁判所民事第三部は、11年8カ月にわたり争われてきた名古屋南部大気汚染公害第一次訴訟(名古屋あおぞら裁判)で、原告ら全面勝利の判決を言い渡しました。
裁判では、工場や道路から汚染物質を排出してきた中部電力、新日鉄など企業11社(途中ヤハギが倒産して10社になった)及び国を相手として、損害賠償及び工場・道路からの汚染物質の排出差止請求の可否が争われました。
原告患者らの高齢化も進み、二次、三次も含めた約300名の原告のうち3分の1にあたる100名近い方が亡くなるという中で、まさに命を懸けた戦いが続けられてきたのです。この間、原告患者や支援者らは、早期解決のための100万人署名に取り組み、署名を持って何度も企業に交渉に出かけ、「命あるうちに解決を」と迫ってきたのですが、企業は患者らの悲痛な叫びに耳を塞ぎその扉を固く閉ざしたままでした。
そんな中で、ようやく企業ら及び国の違法行為を断罪する判決を勝ち取ったのです。患者さんたちの喜びを思うと、弁護団に加わりともに戦ってきた者として感慨深いものがあります。
画期的な差止め判決
判決は、企業らが垂れ流してきた硫黄酸化物による健康被害及び道路から排出された粒子状物質による健康被害を認め、企業及び国に対して損害賠償を、そして国に対して一定程度の濃度の汚染物質の排出の差止めを命じる画期的なものでした。この差止め判決は、2000年1月31日の尼崎判決に続くもので、汚染の差止命令という判決の流れが定着したことを示すものです。
「公共性」より命の重み】
この判決の大きな意義の第一は、道路からの汚染物質排出差止を認めたという点にあります。このことは、今もなお続く「現在進行形の」大気汚染公害の存在を認めるものであり、1988年に国民多数の反対を押し切って強行された公害健康補償法の指定地域解除がいかに誤りであったかを示すものです。また、たった一人の原告のために差止めを認めており、人の生命・健康という人格的価値はどんな公共性よりも重いものなのだということを司法が改めて明確に判断した点で、国に対し人命無視・「公共性」重視の政策転換を迫るものとなっています。
第二にこの判決は、被告らが否定してきた大気汚染物質による健康被害を明確に認めたことです。被告らは一貫して、汚染物質と公害病とは関係がないと主張してきましたが、その主張の誤りが明らかとなりました。このことは、責任逃れに終始し患者の救済を引き伸ばしてきた被告らの姿勢を問うものであります。
ただしこの判決にも問題がないわけではありません。むしろ問題山積みの判決であると言ってもいいくらいです。これまでの大気汚染裁判で認められてきた窒素酸化物と健康被害との因果関係を認めなかったこと、自動車排ガスによる健康被害を道路沿道(それも国道23号線のみ)20メートル以内に限定したこと、大気汚染に対する被告企業の寄与割合を不当に低く見積もっていることなどです。これに対しては原告団としても不服であるとして控訴をしました。
まだまだ続く戦い
この判決を受けて、原告団、弁護団、支援の会などは、被告企業、国、地方自治体と交渉を持ち、直ちに謝罪し、早期全面解決を図るよう迫りましたが、被告らは頑として謝罪を拒み、裁判所の認めた責任を認めようとしないという不当な態度を貫きました。ここには、何十人もの人の生命を奪い、多くの被害を生んできたことに対する反省のかけらも感じられません。私たちはこのような態度を絶対に許すことはできません。さらに早期全面解決に向けて最大の努力を傾けるつもりです。また患者の救済のみならず、青い空を取り戻し、公害のない街づくりのためのたたかいはまだまだ続きますので、今後とも御支援と御協力をお願いします。
(おあおぞら裁判報告原稿 伊藤勤也)
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