東京地裁の裁判長見解
「設立委員に責任あり」
JR北海道・貨物不採用事件

弁護士 松本篤周

 1047名の国労、全動労組合員の採用を拒否した事件について、現在東京地方裁判所で審理が続けられており、名古屋からは私が弁護団に参加しています。

 事件は全国の地方労働委員会で、「国鉄とJRは実質的同一性があり、国鉄はJR設立委員の補助者として採用者名簿を作成したのであるから、JRの不採用行為は不当労働行為にあたるので、全員を採用したものとして扱うべき」との命令を出しました。これを不服としたJR側は、中央労働委員会に不服申し立て。中労委は国鉄とJRの実質的同一性を肯定したものの、不当労働行為は「104名の一部」にあっただけだから、採用行為をやり直して、「相当数」を採用しなさい、という命令を下しました。これに対してJR北海道・貨物側が「国鉄と新会社が同一」との判断を不服として、組合側は「相当数の採用」という救済方法の不完全さを不服として、それぞれ東京地方裁判所に中労委命令の取り消しの訴えを提起しました。

 この事件が係属する東京地裁民事19部で、今年になって裁判長の交替があり、新裁判長の高世裁判長は、法廷で口頭により「JRと新会社は実質的に同一という理論構成には難があるが、設立委員は、国鉄の採用者名簿作成行為について組合差による不当労働行為が行われないようにする監督権限があり、もしもそのような事実を発見したならばそれを是正する作為義務があるというべきであり、その義務を怠った結果、採用において差別があった場合は新会社がその責任を負うという理論構成が妥当」という見解を示しました。

 この見解は、「JRと国鉄とは全く別個の存在であり、国鉄の行った行為について、新会社は一切責任がない」と主張し続けるJR側に対して、不当労働行為の責任を九尾呈する大きな可能性を示す画期的な見解表明であり、弁護団としては、この見解を念頭に、さらに主張立証を強める決意を固めています。分割民営化以来10年が過ぎ、一刻も早く解雇された組合員を救済することが求められていますが、闘いは大きな展望を開きながら正念場を迎えています。